氷魔女「氷魔法使いは常に冷静でなければならぬ」

著者:2chSSまとめ

カテゴリ:オリジナル

長編作品 (33734字)

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作品タグ: SS

< 氷魔女の家 >

氷魔女「氷魔法使いは常に冷静でなければならぬ」

見習い魔女「はいっ!」

氷魔女「冷静になれば、魔力で生み出したこの氷の板を100枚並べることすら容易い」

氷魔女「よく見ておくがいい……」スッスッ…

順調に氷の板を立てて並べていく。

見習い魔女「すごいすごい! あと10枚で100枚ですよ!」

氷魔女「あ、あと10枚か……!」ハァ…ハァ…

氷魔女「95枚……96枚……」スッ…

見習い魔女「先生、しっかり!」

氷魔女「きゅ、97……」プルプル…

次の瞬間――

パタタタタタタタタタタタタッ…

氷魔女「あ……あああああああああああっ……!」

100枚を目前にして、氷の板は全て倒れてしまった。

氷魔女「また……失敗か」ガクッ

氷魔女「私はどうして、肝心な時になると冷静さを失ってしまうんだ……」

見習い魔女「……大丈夫ですよ! きっといつか100枚立てられる日が来ますよ!」

氷魔女「励ましてくれるか……ありがとう」

見習い魔女「それと、今日は山を下りて町に行く日ですよ」

見習い魔女「元気を出して、さっそく準備しましょう!」

見習い魔女「先生の魔法を必要としてる人はいっぱいいるんですから!」

氷魔女「うむ……そうだな」


< 町 >

氷魔女は週に一回、山を下りて町で仕事や買い物をする。

氷魔女「まずは商店街に行くとするか」

見習い魔女「はい」

青年「あ、こんにちは」

見習い魔女「こんにちは!」

氷魔女「…………」ツーン

見習い魔女「せ、先生……!」

青年「いえ、いいんですよ! 氷の美貌っていうんですか……やっぱりさすがだなあ」

氷魔女「!」ピクッ

氷魔女「そ、そうか!」

青年「え?」

氷魔女「どうだ、今度一緒に氷山見学でも行かないか?」ガシッ

青年(うわっ、冷たっ!)

青年「あ、あの、遠慮しときます!」タタタッ

氷魔女「やれやれ……顔を真っ青にするほど照れることもあるまい」

見習い魔女「普通、照れる時って真っ赤になりますけどね」

氷魔女たちを見かけ、敬礼のポーズをする町の守備隊長。

守備隊長「これはどうも! 氷魔女殿! お弟子さん!」シュビッ

氷魔女「うむ」シュビッ

見習い魔女「こんにちは!」

守備隊長「この間は強盗退治にご協力いただき、ありがとうございました!」シュビッ

氷魔女「フン、あの程度のこと、わざわざ礼をいわれることではない」シュビッ

守備隊長「ではよいお買い物を!」シュビッ

氷魔女「うむ」シュビッ

見習い魔女「あの……先生」

氷魔女「なんだ?」

見習い魔女「あたしたちは敬礼のポーズをしなくてもいいんですよ」

氷魔女「え、そうなの!? シュビッてやらなくていいのか!」

魚屋――

氷魔女「ほら、氷だ」ドスンッ

氷魔女「これで存分に、魚を冷凍保存するがいい」

魚店主「おおっ、助かります!」

八百屋――

氷魔女「魔女特製の氷だ。そう簡単には溶けんぞ」ドスンッ

八百屋店主「いつもいつもありがとよ! ほれ、代金だ!」

診療所――

医者「氷魔女さんの氷があると、患部を冷やしたりできるので助かりますよ!」

氷魔女「ケガの時は、すみやかに冷却することが肝心だからな」

氷魔女「仕事も買い物も済んだし、そろそろ山に帰るとしよう」

氷魔女「帰ったら、魔法の特訓だ」

見習い魔女「お願いします!」

町の外へ出ようとした時――

氷魔女「――ん? 誰だあれは?」

見習い魔女「小さい玉に、粉みたいなものを入れてますね? なんでしょう?」

氷魔女「ふむ……気になるな。どれ、少し見物といくか」

見習い魔女「こんにちは」

花火師「……ん」

見習い魔女「なにをしてらっしゃるんですか?」

花火師「…………」

見習い魔女「あの……」

花火師「…………」

氷魔女「おい、無視とは感心せんな。少し冷たい目にあってみるか?」ビュォォ…

見習い魔女「せ、先生……!」

花火師「…………」シュボッ…

“粉”を入れた玉に火をつける。

パァンッ!

見習い魔女「きゃっ!」

氷魔女「うをおおおおおおおおっ!?」

見習い魔女「今のは……花火ですね! 初めて見ました!」

氷魔女(ビ、ビックリした……!)ドキドキ

花火師「よく知ってるな。そう、花火だ……俺は花火師なんでな」

見習い魔女「この町の人なんですか?」

花火師「ああ……一応な」

花火師「だが、一年のうち大半はよその地域で花火製作の依頼をこなしているから……」

花火師「この町にいることはほとんどないがな」

氷魔女「ふん、どうりで見たことがないわけだ」

見習い魔女「ということは、この粉は火薬ですか?」

花火師「ああ……火薬と金属の粉を混ぜたものだ」

見習い魔女「金属の粉?」

花火師「火はある種の金属と反応して、色が変わる」

花火師「それを利用して、火に色をつけるんだ」

見習い魔女「すっごーい! 勉強になります! メモメモ!」

氷魔女「フン……魔法による炎だって、色ぐらいつけられる!」ボッ…

見習い魔女「変な対抗意識燃やしてどうするんですか!」

氷魔女「あち! あちちち!」