恒一「有田さんが普通じゃなくなる現象……?」

著者:2chSSまとめ

カテゴリ:Another

長編作品 (17991字)

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病院

赤沢「どう? 理解できた?」

恒一「えっと、夜見北の三年三組は呪われたクラスで、毎年「アリタ」の名字を持つ人は呪われる……ってこと?」

赤沢「理解が早くて助かるわ」

恒一「それで、その、赤沢さんが対策係で、もうすぐ転入する僕にそれを説明しに来た」

赤沢「そういうことよ」

恒一「でも、普通じゃなくなるって、どうなるのさ。それに、どうしてその説明を、僕に?」

赤沢「……現象が現れる引き金が「アリタが恋をする」事なのよ」

恒一「恋……?」

赤沢「ええ、つまり、榊原君は、その……」

風見「赤沢さん、言いにくいなら僕から話そうか?」

赤沢「ええ、お願いするわ。異性に対して面と向かって言う事は、少し憚るわ」

桜木「……無能」ボソッ

赤沢「何か言った」ギロッ

風見「榊原君、君は同性の僕から見ても、整った顔立ちをしていると思う。現在、有田さんは恋愛をしていない。だが、彼女とて中学三年生だ。恋に飢えてる時期だろう」

風見「そんな所に、君のようなイケメンが来れば、有田さんはすぐに落ちる可能性がある」

恒一「そ、そんな……じゃあ僕はどうすれば……」

赤沢「簡単な事よ。初日に、悪いイメージをつければいいの」

恒一(転入初日に、悪いイメージをつけろだって!? そんな事をしたら、僕の残り一年の生活が……!)

赤沢「もちろん、有田さん以外の生徒には、先に転入生として紹介するわ。貴方はただ、有田さんが恋心を抱かないように、強烈なイメージをつければいいの」

恒一「具体的には、何をすればいいの?」

赤沢「……初日にこれを、つけてきてほしいの」スッ

恒一「……紙のお面?」

風見「それじゃあ、クラスとの顔合わせの時に、また」

桜木「お大事に」

恒一「うん、ありがとう。またね」

赤沢「正直、納得はしてもらえないと思うわ。それでも、クラスの普通少女を守る為だと思って、お願い」

恒一「うん、わかった。出来る限り、頑張るよ」

赤沢「対策係として、感謝するわ」スッ

恒一(握手…………)ギュッ


転入初日

久保寺「転入生の榊原恒一君だ。皆、仲良くして……くくっ……れ」

勅使河原「ブブッ……くくくくっ……」

小椋「ふふっ! ……ひっ、ふ……ずる……ふふふふ」

恒一「転入生の榊原恒一です」

綾野「お面……あはは、つけてしゃべらな……ふふ」

中尾(どうして……俺の顔のお面なんだ……)

有田(……中尾君の、お面? え? え? どうして? 何で先生は何も言わないの?)

赤沢(我ながら、完璧な対策ね。これで有田さんは榊原君を嫌う事間違い無しだわ)ドヤァ

恒一(これ、いつになったら外せるんだろう?)

中尾(なんで皆、バカ受けなんだ……)


休み時間

勅使河原「サカキ最高だなぁ! 本当、見直したぜ!」

風見「見直したって、お前はまだあって二日しか経ってないだろう」

勅使河原「細けぇ事は良いんだって。それより、それ、見してく……くくくくっ!」

望月「本当、凄い出来だね。誰が作ったんだろう」

杉浦「私よ」

勅使河原「マジかよ……」

有田「ね、ねぇ、由美ちゃん……」

小椋「ん? どうしたの?」

有田「あの転校生さん、おかしくない?」

小椋「あはは……ま、まあそういう人もいるよ。松子は気にしない方が良いんじゃないかな」

赤沢(グッジョブ由美! そうやって有田さんを榊原君からそれとなく離して行きなさい)

有田「うーん……でも、ちょっと面白い人だよね」

赤沢、小椋(!?)

小椋「そ、そんな事は無いと思うよ! ほら、今だって、ほとんどの女子が寄り付かないし!」

赤沢(私の対策よ。多佳子は連絡を回しやすいように、男子の中に混じってもらっているわ)

有田「それもなんか変じゃない? 彩ちゃんなんかは、転校生にぐいぐい行きそうだと思ってたんだけど……」

綾野「……っ!?」

赤沢(行きなさい! 怪しまれるくらいなら、すぐに!)

綾野「あ、あー、やっと宿題終わったなー、かったるいなー、あれぇ、あんな所に転入生がいるぞ? ちょっとちょっかいをかけてこよう!」ボウヨミ

赤沢、小椋(お前それでも演劇部かっ!)

有田「あっ! 私も宿題忘れてた! やらなきゃ!」

小椋(普通な子で良かった……)

有田「和江ちゃん、宿題やってきてる? お願い、見せてっ!」

佐藤「え、えぇ。いいわよ」

見崎(私もやってない……)


放課後

有田「悠ちゃん、一緒に帰ろ!」

江藤「うん、いいよ。コンビニよってく?」

有田「うん、私も欲しいの物があったんだ」タッタッタッタ

クラス一同「ふぅ……」

恒一「ねぇ、いまだに僕、有田さんが普通じゃなくなると、どうなるのか知らないんだけど。それにそもそも、有田さんが僕に恋する前提がおかしいと思うんだ」

赤沢「現在の結果ね……それはあの人に聞いた方が……」

恒一「……あの人」

千曳「現象の結果……尋常じゃないね」

赤沢「千曳先生……」

千曳「はじめまして、転入生の榊原君だったかな。図書室の千曳だよろしく」

恒一「よ、よろしくお願いします」

千曳「うん、たしかに端正な顔立ちだ。これなら、アリタの呪いを気にするわけだ」

赤沢「千曳先生、彼に現象について詳しく教えてあげてもらっても、いいですか?」

千曳「あぁ、いいだろう。私もそのためにここに来たんだ」

千曳「始まりは……26年前の出来事だ」

千曳「26年前の三年三組には、有田岬という生徒がいた。それはもう、普通の権化のような生徒でね、テストは平均点周辺、飛び抜けた才もなく、可もなく不可もなく、そんな生徒だった」

千曳「しいて彼の特徴をあげるなら、その凡庸さ故に、誰とでも仲良くなれる事くらいだね。きっとこのクラスの有田さんも、似たような所があるだろう?」

小椋「はい……」

千曳「そんな彼だがね、自殺したんだよ」

恒一「ええっ!?」

千曳「突然の自殺だった。担任の教師……まあ、私の事なんだが、私には、彼の悩みの兆しは、まったくわからなかった」

千曳「彼の遺書にはね、こう書いてあったんだ」

千曳「普通じゃなくなりたい。特別な人間になりたい。もっと自分を見てほしい。モブキャラなんてもうゴメンだ。来世では、きっと主役になってやる。ってね」

千曳「それ以来、この三年三組の「アリタ」は呪われるようになってしまった」

千曳「26年前の有田君はね、好きな人がいたらしいんだ。それがこのクラスなのか、それとも違うのか、それはわからない。だが、友人にほのめかすだけで、告白する事もなく、彼は死んでしまった」

恒一「だから、恋をする事で呪いが始まるんですか?」

千曳「私はそう思っている。そして、呪われるとどうなるかだが……」

千曳「丁度良い、そういうと不謹慎だがね。15年前の「アリタ」を例に出そう」

千曳「彼は、三年生になり、ある女子生徒と同じクラスになってしまった。一目惚れ、って奴だったんだろうね」

千曳「そして、呪われた。次の日彼は、「俺はダンサーだ!」そう言いながら、サンバの衣装を着て、踊り始めた」